「愛と欲望の劇場-浮気・不倫・離婚2chまとめブログ-」はその名の通り、浮気・不倫・離婚についてまとめた2chまとめブログです。
2chの家庭板や浮気・不倫板を中心に様々な板からカップルの浮気や夫婦の不倫・離婚騒動はもちろんのこと、修羅場や武勇伝、復讐など人間の愛と欲望渦巻くあらゆる話を掲載しています。
今後あなたの身に起こるかも知れない男女間のトラブルを赤裸々に告白したものとなっております。
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愛する名無しさん 2015年09月19日(土) 18:44
広兼漫画の一場面 -
愛する名無しさん 2015年09月19日(土) 19:06
おい管理人
後編リンク間違えてるぞ。なにやってんの -
愛する名無しさん 2015年09月22日(火) 00:13
>玄関を出て行く間際に嫁はボソっと「7年間頑張ってきたんだけどな」と一言漏らしながら名残惜しそうな視線を俺に向けてきた。
この一言が全てじゃん
結婚して子供も出来たのに家庭なんて眼中になかった、夫や子供との生活を「頑張らないと」出来なかった
人間として終ってるじゃん
2015/09/19 16:34
[ 完結] [ 男性視点] [ 浮気] [ サレ] [ 修羅場] [ ブチギレ] [ 衝撃] [ 再構築]
元スレ:今までにあった修羅場を語れ【その5】
http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1410252925/
501: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:57:40 ID:Uyrbvm7Ol 未だに自分が狭量だったのか否か判断に迷う話なのだが、人生で初めてキレた話をしてみたいと思う。
俺は小さい頃から喧嘩すらした覚えがない。
喜怒哀楽の怒の部分が欠落している人間だと自認してたんだ。
でもだから余計に始末に悪かったのかもしれない。
加減を知らないおかげで嫁にも会社にも大変な気苦労かけさせてしまった。
嫁と俺とは見合い結婚だった。
母と嫁母は同じコーラスグループに所属していてガーデニングを披露し合う仲だ。
だから嫁と知り合う前から彼女の母親とは顔見知りだった。
娘さんが俺の勤務する会社の本社に勤めていることも何かの機会に伝え聞かされていた。
母からその友達の娘さんと会ってみないかと言われたのは妹が出産した直後のことだった。
要するに妹が結婚出産したのに未だに女の気配がない長男(俺)の事が気がかりという事だったんだろう。
あからさまな直球勝負を挑むところがいかにも母親らしいと言われれば母親らしいが俺にだってプライドぐらいある。
502: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:58:05 ID:Uyrbvm7Ol 妹が恋愛結婚したのに長男の俺が母親のコネを利用したのでは格好がつかないだろう?
でも母は俺の口から断りの言葉が出る前にすかさず嫁の写真を差し出してきたんだ。
シャシャ!と。
そういうところは本当に抜け目ないと思う。
いい子そうじゃない?と言われた。
黒縁メガネをかけた優しい笑顔の女性が写ってた。
確かに俺の目にもそう映った。
向こうは会っても良いって言ってるみたいよって言われた。
案外なことに向こうが見合いに乗り気らしかった。
俺は月に二回必ず本社に出向することになっている。
だからその日に軽くお茶でもという事で既に話が進んでいると言われた。
母はそういうとき必ず外堀を埋めてから攻めてくる。
断りきれない軟弱な俺の性格を熟知してるんだ。
母は「せっかく会ってみたいって向こうがいってくれてるんだから」って言ってたけど実際は何処まで本当だったのかわからない。
母の性格からすると俺が乗り気だと向こうに伝えてる可能性は十分すぎるぐらい考えられるからだ。
しかし何やかや言っても結局会う事にしたのは写真の印象が良かったからなのは言うまでもない。
しかも学歴までしっかりしてるときたもんだ。
おかげで俺のちっぽけなプライドなんて何処かへ飛んていってしまった。
503: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:58:30 ID:Uyrbvm7Ol でも見合いは見合いでけっこうドキドキするものだと初めて知った。
待ち合わせの喫茶店にいくとき凄く緊張した。
喫茶店の扉を開けると窓際の席に彼女がポツンと座って待ってた。
こっち振り向くまでのインターバルが凄く長く感じたのを覚えてる。
彼女はメガネをしていなかった。
彼女なりにおめかしをして来てくれたんだと思う。
写真で見るよりぜんぜん美人だった。
笑顔だけは写真の印象そのままだった。
今思い出してみると俺はその時確かに不自然な何かを感じていた。
何でこんな美人が見合いなんかする必要があるの?という素朴な疑問。
しかし彼女の美貌を前に浮き足立った俺が熟考するわけもなく、トントン拍子に結婚まで話が進んだ。
考えてみればそれも随分と不自然な話だったなぁと思う。
恋愛経験値が不足してたんだろうな。
結婚してすぐに彼女は子供を欲しがった。
幸いなことに彼女はすぐに妊娠し、会社を辞めた。
一児目を産むと彼女はすぐに二児目を欲しがった。
しかし一児目はあれほどすんなり出来たのに二児目はなかなか授からなかった。
聞くところによると二児目不妊症というやつらしい。
彼女はもう少し頑張りたいと言ったが俺は育休が切れる前に社会復帰を促した。
仕事を続けていても二児目が授からないと決まってる訳でもないし内心彼女の方が稼ぎが良かったのでそれをあてにしたい気持ちもあった。
彼女は気乗りしない様子だったが、結局育休が切れる前に社会復帰した。
完全にやぶ蛇だった。
504: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:58:48 ID:Uyrbvm7Ol でも俺たち夫婦は子供が十歳になるまで何の問題もなく円満な家庭を築けていたはずだったんだ。
喧嘩らしい喧嘩もした記憶がない。
嫁も喜怒哀楽の怒が抜けてるタイプなので喧嘩になりようがなかった。
そういう意味で俺らは似た者夫婦だと思う。
トラブルが発生したのは本社の慰安旅行だ。
本来支社勤めの俺は本社の慰安旅行に帯同したりしないのだが、嫁の伴侶で俺自身本社の人と交流が多くなっていた事もあり、俺も一緒に行ってはどうかと嫁上司が誘ってくれたのが成り行きだった。
嫁もそれを凄く喜んでいた。
しかし直前になって嫁が腹を壊して行けなくなった。
結果、俺一人で行くことになってしまった。
嫁の済まなそうな顔を見ると責める訳にもいかず、つとめて喜んでる自分を演じて見せた。
実際、行ってみたら嫁上司も嫁の同僚も凄く俺に気を使ってくれた事もあって一人でも十分楽しい時間を過ごすことができた。
雲行きが怪しくなったのは夜の宴会の時だ。
俺は嫁上司の前に座った。
いつも嫁がお世話になってますとか言って営業職らしくお酌した。
嫁上司は元ラガーマンで恰幅のいい人だった。
外貌同様性格も豪快で大きな声で笑う人だった。
次期社長の最有力候補であるらしいと嫁から聞かされていた。
それを裏付けるだけの人を引き付ける貫禄と魅力があると俺も思った。
505: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:59:05 ID:Uyrbvm7Ol 確か最初は嫁上司の好きなゴルフの話とかしてた記憶がある。
お互いにお酌し合いながら色々な仕事の失敗談とか裏話とかエピソードを交えて面白い話をしてくれた。
嫁と同期のAさんや若手のB君もその話に加わっていた。
様子がおかしくなりだしたのはAさんが俺と嫁の馴れ初めの話をしだした時だったと思う。
Aさんが「嫁子さんの一目惚れだったんだ?」とか、そういう話で俺をからかいだしたとき嫁上司の酌のピッチが急に早まったように感じた。
いわゆる部下へのかわいがりという奴だ。
あ、潰そうとしてるな?と俺は思った。
でもそのとき俺はそれを意地悪でというより悪戯心でやっているものだとばかり思っていた。
体育会系にはよくあることだ。
俺も応じるように同じピッチで嫁上司に返杯した。
普段、俺はほとんど酒を飲まないが見かけによらず飲めば一升酒ぐらいいける。
営業で飲んで俺を潰そうとしたお客さんを逆に潰してしまう事の方が多い。
酔いの勢いもあって、よし嫁上司と勝負だ!と俺だけ勝手に盛り上がっていた。
Aさんが「俺さん強いねぇ、嫁上司さん負けちゃうんじゃない?大丈夫?」と言った。
どこかの時点で一転して嫁上司が嫌味節になりだした。
あ、絡み酒だと思った。
俺の勤めてる支社は本社の天下り先だと言われた。
支社勤めはどんなに頑張っても支社部長止まりで本社勤めにはなれないとも言われた。
そんなことは言われなくても支社の誰もが知っていた。
だから別に気にも留めなかった。
506: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:59:23 ID:Uyrbvm7Ol 営業で飲むときのからみ酒は嫌というほど味わってきたから慣れていた。
むしろ次期社長候補の意外な一面を見れて興味深かった。
嫁は本社勤めだから俺とは格差だと言われた。
俺はそうですねと適当にあしらった。
そんなの屁でもなかった。
給料はいくらだと云われ400万ちょっとですと答えた。
嫁は450万以上貰ってるだろう?と言われた。
俺はハイと素直に答えた。
そこでAさんが「でも嫁子さんはそんな俺男さんに惚れてるんだもんね?」と気遣う様な事を言った。
このときB君、嫁上司を見て、やばいという表情をしていたのを覚えてる。
営業の鉄則として、からみ酒をあしらう時に反論をしては絶対にいけない。
火に油を注ぐようなものだ。
適当にハイハイとあしらっておけばいい。
嫁上司が実は嫁が結婚する前からお互い想い合っていたという事を話し出したのはこの時の事だ。
AさんとB君、さすがにズッコケて「嫁上司さ~ん」と呆れていた。
俺だって酔っ払いの妄言を真に受けるほど馬鹿ではない。
笑いながらそうだったんですか?全然知らなかったですと笑って聞いていた。
嫁と出張に行くとき、夜景の見えるレストランで食事をしたりよくしたそうだ。
食事ぐらいで想い合ってたなんて嫁上司さんも意外とピュアなのね~とAさんがからかった。
B君が完全に酔っ払っちゃってますね、と俺を見ながら言った。
真に受けちゃ駄目ですよというジェスチャーだ。
手だってつないだ事もあるんだぞ!と嫁上司が少しムキになった。
B君がそれセクハラですよ~と言った。
507: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)12:59:47 ID:Uyrbvm7Ol 嫁上司が「合意の上でだバカ」と言い返した。
Aさんがでもそれは結婚する前の話よね?と確認するような事を言ったような気がする。
実をいうとこの辺から少し記憶が曖昧になってる。
それで嫁が子供産んで社会復帰してからも少し続いてたという話をしたのかな?確か。
2~3年とか具体的な数字を出して。
ここで俺はちょっと妄言にしては話がリアルだなと思った記憶がある。
酔っ払ってるだけに妄言がスラスラでる事に違和感を感じだした。
でも「私だって美味しいレストランだって誘われたら行っちゃうわ~」とAさんが俺を見ながら言ったんだ。
俺をなだめようとしてくれてるのは酔いながらも理解していた。
そしたら嫁上司が満面に笑みでニン!と笑ったわけ。
その時の表情だけはいまだに忘れられない。
勝ち誇った表情というのかな。
○○事件って知ってるか?って嫁上司が言った。
俺はその事件を知っていた。
嫁が壮大に仕事でやらかした話だ。
「また嫁上司さんはそんなこと言うと嫌われますよ!」
とAさんが怒って言った。
きっと今度は嫁に攻撃対象を切り替えたと思ったのだろうと俺は思った。
違う違うそういう話じゃないと嫁上司は話をはじめた。
あれは5年前の話だと言うとB君が違いますよ僕がした入社ときだから7年前ですと訂正した。
そうかそうかと頷きながら嫁上司は遠い目をしながら回想している様だった。
B君の記憶が正しい。
息子が三歳の頃だったと俺もはっきり覚えていた。
508: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:00:09 ID:Uyrbvm7Ol 嫁が発注していたつもりのものが未発注のまま直前まで気づかなかったという大失態だ。
大口の仕事だったから高級車10台分ぐらい吹っ飛ぶようなやらかしだった。
嫁が「私クビになるかもしれない」と言って青い顔して帰って来たからその日の事は俺も忘れていなかった。
「結局俺が知り合いの居る他社に頼み込んで事なきを得たんだけどな」
と嫁上司が言った。
おや?と思った。
俺の記憶と齟齬が生じていると感じた。
嫁は明朝関西方面にあるクライアントに赴き謝罪と事情説明をした後、とんぼ返りでトラブル処理に追われていたはずだった。
他社に依頼したという話は初耳だった。
しかしAさんとB君は「そうだったよね~」とその日を思い出して感慨にふけっている様子だった。
「だから関西に行ってもやることなくなっちゃってな」と言いながら嫁上司は俺を見た。
「嫁子と観光してまわっちゃった」と嫁上司が言った。
心がズキン!と疼いた。
「嫁上司さ~ん」Aさんが咎めるように言った。
「夜になって夜景の見える所で飯食ってから港をちょっと散歩してさ」
AさんとB君が硬直して嫁上司を見てた。
場が一気に凍りついた。
509: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:00:32 ID:Uyrbvm7Ol 「で、いい雰囲気になったからキスしちゃった」
酔いがまわって周囲の空気が読めなくなった上司は話し続けた。
「無理やりにじゃないぞ?向こうから舌入れてきたんだからな、ワハハ!」
もはや誰も上司の話を遮ろうとはしなかった。
止めたところで手遅れだと誰もが察していたからだ。
「それで帰りまでまだ時間があるから何処かで休憩するか?って誘ったら嫁子が頷いたんでタクシー乗ってな、どっか休めるとこやってくれって頼んだんだ、そしたら俺男お前、携帯に連絡入れただろう?誰から?って俺が聞いても嫁子知らないってクビ横に振ってたけど、俺着信でお前の名前見ちゃったからな、ガハハハ!」
止め手のない暴走列車は更に加速を続けた。
「それでホテルの前に着いたら嫁子のやつ留守電聞いて、そしたら涙ぐみながらスイマセン!やっぱり帰ります!だってよ、そりゃね~よな~!ガハハハ!」
そこで俺はプッツン!切れた。
闇雲に嫁上司の浴衣の袖を引っ張った。
嫁上司、お膳に足を引っ掛け少しだけよろめいた。
食べ残しの料理が散乱した。
俺は嫁上司の鼻っ面に自分の額を叩き付けた。
鼻血がボタボタと畳の床に落ちた。
周囲のざわめく声が少し聞こえたけど、もうそんなどうでもよかった。
クビにでも何でもしてくれ!という自暴自棄な気分になっていた。
でもラガーマンあがりの嫁上司はカッと俺を見据えたまま身じろぎ一つしなかった。
俺は顔面に右ストレートを見舞った。
血飛沫が舞った。
しかし嫁上司は潰れた鼻のまま俺を直視していた。
そんなの効かないよと小ばかにしたような顔つきだった。
510: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:00:52 ID:Uyrbvm7Ol 続けて左ストレートを見舞おうとしたときB君が俺を羽交い絞めにして止めに入った。
「俺さん辞めてください!」と言われたような気がするが本当のところその辺よく覚えてない。
ただAさんの「そりゃ怒るよ~」という泣きそうな声だけは聞いた記憶がある。
そのまま俺は宴会場を引き摺り出された。
ほとんど覚えてないけど俺はきっとかなり暴れていたんだと思う。
B君だけじゃ手が足りなくて他にも何人かに取り押さえられてたような気がする。
それで新人のC君に「やめろ!」とか偉そうなことを言われてカッときて彼の腹に蹴りを見舞ったんだ。
そしたらC君に渾身の力で殴られた。
俺の人生の中で殴られた初めての経験だった。
B君はC君に「お前まで加わるな!」と嗜めた。
それでも飽き足らない俺は彼に向かって唾を吐いた、
彼にもう一発頬を殴られた。
ファイティングポーズをとって、やるなら俺がやってやりますよみたいな顔をされた。
俺は酔いとパンチの衝撃で完全に目を回していた。
気づいたら天井を見上げてた。
覗き込むAさんと常務の顔がボンヤリ見えた。
救急車呼びますか?というAさんの声と、お前これは傷害だぞ!と言う常務のC君を嗜める声が聞こえた。
俺はムックリと起き上がり「帰ります」と一言いった。
まだ目がまわっていて少しよろめいた。
怒る気持ちも分からんでもないが、あれは酔っ払いの妄言だ、真に受けてはいけないと常務に諭された。
確かに嫁上司は酔っ払ってはいたけど言ってる事は妄言ではありませんと常務に伝えた。
俺は確かにあの夜嫁の携帯に留守電を入れていた。
511: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:01:06 ID:Uyrbvm7Ol 息子が寝しなに嫁の事を心配して「どうしたんだろうね?」と言っていたのを俺は覚えていた。
俺も何の連絡もよこさない嫁の事を心配していた。
しかしトラブル処理に追われてるのかもしれないとあえて連絡しなかった。
でも息子が寝付けず10時頃に「やっぱり心配だから電話してみて」と言ったのを俺は確かに覚えていた。
呼び出し音が鳴っても嫁は出ず、仕方ないので「お母さん頑張れ!」と二人で留守電に入れた。
そのいきさつを常務に伝えた。
みな一様に黙り込んだ。
漠然と事態を察しはじめたC君がスイマセンと謝ってきた。
俺はいいよ彼に言った。
別に殴られたことなどどうでも良かった。
俺はよろめきながら立ち上がった。
常務はどこへ行くつもりなのか聞いてきた。
帰りますと言った。
常務は財布を取り出し、俺に十万を手渡した。
真っ直ぐ帰らないでくれと言われた。
どこか別の宿を探してもいいしカプセルホテルでも良いから、一夜を明かしてから帰ってくれと頼まれた。
冷静になってくれという意味だと俺は察した。
結局その金を受け取って家から一番近いネットカフェで一夜を明かした。
残りは手切れ金かなと考えたが退職金と考えると随分安すぎるなぁとか思った記憶がある。
512: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:01:21 ID:Uyrbvm7Ol 同じ様な体験談をネットで探してみた。
ここもその一つだった。
どれも(浮気)する気満々のエピソードばかりで何の参考にもならなかった。
そうこうしている内に嫁からメールが届いた。
確か私の愛を信じてとうような事が書いてあった。
常務から連絡がいったのだと察しがついた。
とても無機質で白々しい言葉に感じた。
既に夜が明け始めていたので俺は重い腰を上げ、家に帰ることにした。
十余年の中ではじめて家に帰りたくない!と凄く思った。
マンションのドアを開けると嫁が目を真っ赤にして立っていた。
酷い!どうしたの?と俺の腫れた顔を見て頬に手を伸ばした。
俺はその手を振り払った。
嫁は泣いた。
虚しかった。
私を信じられないの?と言われた。
それなら聞くが、あのとき君は何処でなにをしていたのか教えて欲しいと言った。
嫁は「え?」といって俺をみた。
夜8時頃、俺と息子が心配しているとき、君は何処で何をしていたの?と言った。
ひとが心配してる時、上司の汚い口の中に君の舌を入れてたんじゃないのか?と言った。
息子が寝付けずに携帯に電話して欲しいと言ったとき、君は何処で何をしていたの?と言った。
ひとが心配してる時、君はホテルで上司に抱かれるつもりでいたんじゃないのかと言った。
嫁は口元を押さえながら嗚咽を漏らして泣き崩れた。
嫁は、でもあの時の二人の言葉で私は変わることができたと言った。
それまでの自分とそれからの自分は別人だと言った。
二人が私を生まれ変わらせてくれたと言った。
513: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:01:42 ID:Uyrbvm7Ol 俺は真実を全てつまびらかにして欲しいと言った。
何故上司に思いを寄せていたのに俺と結婚しようと思ったのか
何故結婚して子供ができてもなお、二人で飯を喰いにいったりしたのか
その心境を教えて欲しいといった。
嫁は口元を押さえて激しく首を横に振った。
言ったら許してくれなくなっちゃうと言って嗚咽を漏らした。
真実を知ることが出来なければ許すどころか君を憎しみ続ける事になるだろうと言った。
嫁は暫く子供の様にしゃくり上げていたが、ゆっくりと真実を話し始めた。
俺と付き合う前から嫁と上司はお互い想いを寄せていたこと、
しかし嫁は上司の家庭を壊したくないと思っていたこと、
上司もそれは望んでいなかったということ、
だからたまにご飯を食べにいくだけの関係を続けていたこと、
でもこのままだといつか間違いを犯してしまうと危機感を募らせていたこと、
そこに俺との見合いの話が舞い込んできたこと、
それを機会に会社から退こうと思っていたこと、
しかし社会復帰して再び上司への想いが募ってしまったこと、
このままではいけないと思っていたけど食事だけならいいのではと自分に言い訳しながらズルズルいってしまったこと、
そこに例のトラブルが起きたこと、
クビ覚悟でいたのに上司が全て解決してくれたこと、
気持ちが舞い上がってしまったこと、
514: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:02:09 ID:Uyrbvm7Ol ホテルの前で「お母さん頑張れ!」という留守電の声を聞いて目が覚めたこと、
そこで私は生まれ変わったということ、
そこから七年間食事にいったことも想いを寄せることもなくなったということ、
だから今の自分とあの時の自分は違うということ、
今は俺の事しか見てないということを言われた
多分、そこに嘘はなかったと思う
しかし俺は脱力した
「やっぱりな、どうりで君が俺なんか好きになるのはおかしいと思ってたんだよ、そういう事か」
そう言って俺は玄関の床にへたり込んだ。
「ちがう!ちがう! 優しくて素敵な人だと思ったから結婚しようと思ったの!」
「子供ができて三年も上司に想いを寄せてたって、それじゃまるで俺はピエロじゃないか」
「でも今は違う! あなたは天が私に授けてくれた運命の人だと思ってる! 私を生まれ変わらせてくれた運命の人だと思ってる!」
「じゃ、何で携帯に出なかったんだよ、次期社長様とラブラブな時に支社勤めの小物が鬱陶しいと思ったんだろうが!」
「凄く葛藤してたよ! でももう手遅れだって、汚れた私があなたの電話に出る資格なんかないって思って出れなかったの!」
「やった方は悲劇のヒロインに浸れて良いな、裏切られ続けてた側はたまったもんじゃないよ」
いつも穏やかな嫁が涙と鼻水まみれになって泣き崩れた。
「トラブル処理は嘘だったんだろ」
「ごめんなさい」
「ひとに心配させといて、悠長に観光巡りしてたんだって?」
嫁はもう言葉も発することもできずに肩を震わせるだけだった。
「ひとをバカにするのも程々にしろよ」
蚊の鳴くような声で、申し訳ありませんという言葉を搾り出すのが精一杯という様子だった。
515: 名無しさん@おーぷん: 2014/10/08(水)13:02:35 ID:Uyrbvm7Ol 俺は二つに一つどっちか選んでくれと言った。
え?、と嫁が顔を上げた。
君が出て行くか俺が出て行くか決めてくれと俺は言った。
嫌だ!私出て行きたくない!と嫁がヒステリックな声を出した。
分かった俺が出て行く、君の方が稼ぎがいいしな、当然の権利だと俺は言った。
待って!と言いながら去ろうとする俺のシャツを嫁が引っ張った。
暫く嫁は嗚咽を漏らしながら泣いていたが「私が出ます」と小さな声で言った。
「支度は手伝うよ、残りの荷物は僕がまとめて君の実家に送るようにするから」
「今日出てくだけなの!別れるって認めたわけじゃないの!」
嫁は子供の様に床を激しくドンドン!と踏みつけた。
玄関を出て行く間際に嫁はボソっと「7年間頑張ってきたんだけどな」と一言漏らしながら名残惜しそうな視線を俺に向けてきた。
いろいろと話さなければならい事もあるから、また連絡するよと俺は言った、
「別れないよ!絶対に別れないからね!」という言葉を残して嫁は我が家を出て行った。
家に一人残されると彼女の財布がテーブルに置きっぱなしになっているのに気づき慌てて追いかけた。
遠目に嫁が公園に居るのが見えた。
携帯で誰かと話していた。
俺は反射的に公衆トイレの影に隠れて誰と話しているのかを探った。
「何で今頃蒸し返すような事を言うのよ!」と嫁が今まで見たこともないような凄い剣幕で捲くし立てていた。
その言葉で上司と話しているのが分かった。
俺が始めてみる嫁の怒の側面だった。
暫く罵詈雑言を上司に浴びせかけていたが、最後に「絶対に許さないからね!」と言って携帯を切った。
俺が居るのに気づくとハッとした表情を見せた。
「財布」
「ありがとう」
と言いながらも嫁はいかにも不満そうに唇を尖らせていた。
不満そうな顔のまま去っていった。
たしかその時も、7年間の自分を見て評価してほしいというような事を言われた気がするが、その辺の詳細は失念した。
17:04更新【後編】酔っ払った嫁上司『お前の嫁とデートして、いい雰囲気になったからキスしたwそれでホテルまで行ったんだけど~』→俺はプッツン!人生で初めてブチギレた結果・・・へ続く
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俺は小さい頃から喧嘩すらした覚えがない。
喜怒哀楽の怒の部分が欠落している人間だと自認してたんだ。
でもだから余計に始末に悪かったのかもしれない。
加減を知らないおかげで嫁にも会社にも大変な気苦労かけさせてしまった。
嫁と俺とは見合い結婚だった。
母と嫁母は同じコーラスグループに所属していてガーデニングを披露し合う仲だ。
だから嫁と知り合う前から彼女の母親とは顔見知りだった。
娘さんが俺の勤務する会社の本社に勤めていることも何かの機会に伝え聞かされていた。
母からその友達の娘さんと会ってみないかと言われたのは妹が出産した直後のことだった。
要するに妹が結婚出産したのに未だに女の気配がない長男(俺)の事が気がかりという事だったんだろう。
あからさまな直球勝負を挑むところがいかにも母親らしいと言われれば母親らしいが俺にだってプライドぐらいある。
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シャシャ!と。
そういうところは本当に抜け目ないと思う。
いい子そうじゃない?と言われた。
黒縁メガネをかけた優しい笑顔の女性が写ってた。
確かに俺の目にもそう映った。
向こうは会っても良いって言ってるみたいよって言われた。
案外なことに向こうが見合いに乗り気らしかった。
俺は月に二回必ず本社に出向することになっている。
だからその日に軽くお茶でもという事で既に話が進んでいると言われた。
母はそういうとき必ず外堀を埋めてから攻めてくる。
断りきれない軟弱な俺の性格を熟知してるんだ。
母は「せっかく会ってみたいって向こうがいってくれてるんだから」って言ってたけど実際は何処まで本当だったのかわからない。
母の性格からすると俺が乗り気だと向こうに伝えてる可能性は十分すぎるぐらい考えられるからだ。
しかし何やかや言っても結局会う事にしたのは写真の印象が良かったからなのは言うまでもない。
しかも学歴までしっかりしてるときたもんだ。
おかげで俺のちっぽけなプライドなんて何処かへ飛んていってしまった。
待ち合わせの喫茶店にいくとき凄く緊張した。
喫茶店の扉を開けると窓際の席に彼女がポツンと座って待ってた。
こっち振り向くまでのインターバルが凄く長く感じたのを覚えてる。
彼女はメガネをしていなかった。
彼女なりにおめかしをして来てくれたんだと思う。
写真で見るよりぜんぜん美人だった。
笑顔だけは写真の印象そのままだった。
今思い出してみると俺はその時確かに不自然な何かを感じていた。
何でこんな美人が見合いなんかする必要があるの?という素朴な疑問。
しかし彼女の美貌を前に浮き足立った俺が熟考するわけもなく、トントン拍子に結婚まで話が進んだ。
考えてみればそれも随分と不自然な話だったなぁと思う。
恋愛経験値が不足してたんだろうな。
結婚してすぐに彼女は子供を欲しがった。
幸いなことに彼女はすぐに妊娠し、会社を辞めた。
一児目を産むと彼女はすぐに二児目を欲しがった。
しかし一児目はあれほどすんなり出来たのに二児目はなかなか授からなかった。
聞くところによると二児目不妊症というやつらしい。
彼女はもう少し頑張りたいと言ったが俺は育休が切れる前に社会復帰を促した。
仕事を続けていても二児目が授からないと決まってる訳でもないし内心彼女の方が稼ぎが良かったのでそれをあてにしたい気持ちもあった。
彼女は気乗りしない様子だったが、結局育休が切れる前に社会復帰した。
完全にやぶ蛇だった。
喧嘩らしい喧嘩もした記憶がない。
嫁も喜怒哀楽の怒が抜けてるタイプなので喧嘩になりようがなかった。
そういう意味で俺らは似た者夫婦だと思う。
トラブルが発生したのは本社の慰安旅行だ。
本来支社勤めの俺は本社の慰安旅行に帯同したりしないのだが、嫁の伴侶で俺自身本社の人と交流が多くなっていた事もあり、俺も一緒に行ってはどうかと嫁上司が誘ってくれたのが成り行きだった。
嫁もそれを凄く喜んでいた。
しかし直前になって嫁が腹を壊して行けなくなった。
結果、俺一人で行くことになってしまった。
嫁の済まなそうな顔を見ると責める訳にもいかず、つとめて喜んでる自分を演じて見せた。
実際、行ってみたら嫁上司も嫁の同僚も凄く俺に気を使ってくれた事もあって一人でも十分楽しい時間を過ごすことができた。
雲行きが怪しくなったのは夜の宴会の時だ。
俺は嫁上司の前に座った。
いつも嫁がお世話になってますとか言って営業職らしくお酌した。
嫁上司は元ラガーマンで恰幅のいい人だった。
外貌同様性格も豪快で大きな声で笑う人だった。
次期社長の最有力候補であるらしいと嫁から聞かされていた。
それを裏付けるだけの人を引き付ける貫禄と魅力があると俺も思った。
お互いにお酌し合いながら色々な仕事の失敗談とか裏話とかエピソードを交えて面白い話をしてくれた。
嫁と同期のAさんや若手のB君もその話に加わっていた。
様子がおかしくなりだしたのはAさんが俺と嫁の馴れ初めの話をしだした時だったと思う。
Aさんが「嫁子さんの一目惚れだったんだ?」とか、そういう話で俺をからかいだしたとき嫁上司の酌のピッチが急に早まったように感じた。
いわゆる部下へのかわいがりという奴だ。
あ、潰そうとしてるな?と俺は思った。
でもそのとき俺はそれを意地悪でというより悪戯心でやっているものだとばかり思っていた。
体育会系にはよくあることだ。
俺も応じるように同じピッチで嫁上司に返杯した。
普段、俺はほとんど酒を飲まないが見かけによらず飲めば一升酒ぐらいいける。
営業で飲んで俺を潰そうとしたお客さんを逆に潰してしまう事の方が多い。
酔いの勢いもあって、よし嫁上司と勝負だ!と俺だけ勝手に盛り上がっていた。
Aさんが「俺さん強いねぇ、嫁上司さん負けちゃうんじゃない?大丈夫?」と言った。
どこかの時点で一転して嫁上司が嫌味節になりだした。
あ、絡み酒だと思った。
俺の勤めてる支社は本社の天下り先だと言われた。
支社勤めはどんなに頑張っても支社部長止まりで本社勤めにはなれないとも言われた。
そんなことは言われなくても支社の誰もが知っていた。
だから別に気にも留めなかった。
むしろ次期社長候補の意外な一面を見れて興味深かった。
嫁は本社勤めだから俺とは格差だと言われた。
俺はそうですねと適当にあしらった。
そんなの屁でもなかった。
給料はいくらだと云われ400万ちょっとですと答えた。
嫁は450万以上貰ってるだろう?と言われた。
俺はハイと素直に答えた。
そこでAさんが「でも嫁子さんはそんな俺男さんに惚れてるんだもんね?」と気遣う様な事を言った。
このときB君、嫁上司を見て、やばいという表情をしていたのを覚えてる。
営業の鉄則として、からみ酒をあしらう時に反論をしては絶対にいけない。
火に油を注ぐようなものだ。
適当にハイハイとあしらっておけばいい。
嫁上司が実は嫁が結婚する前からお互い想い合っていたという事を話し出したのはこの時の事だ。
AさんとB君、さすがにズッコケて「嫁上司さ~ん」と呆れていた。
俺だって酔っ払いの妄言を真に受けるほど馬鹿ではない。
笑いながらそうだったんですか?全然知らなかったですと笑って聞いていた。
嫁と出張に行くとき、夜景の見えるレストランで食事をしたりよくしたそうだ。
食事ぐらいで想い合ってたなんて嫁上司さんも意外とピュアなのね~とAさんがからかった。
B君が完全に酔っ払っちゃってますね、と俺を見ながら言った。
真に受けちゃ駄目ですよというジェスチャーだ。
手だってつないだ事もあるんだぞ!と嫁上司が少しムキになった。
B君がそれセクハラですよ~と言った。
Aさんがでもそれは結婚する前の話よね?と確認するような事を言ったような気がする。
実をいうとこの辺から少し記憶が曖昧になってる。
それで嫁が子供産んで社会復帰してからも少し続いてたという話をしたのかな?確か。
2~3年とか具体的な数字を出して。
ここで俺はちょっと妄言にしては話がリアルだなと思った記憶がある。
酔っ払ってるだけに妄言がスラスラでる事に違和感を感じだした。
でも「私だって美味しいレストランだって誘われたら行っちゃうわ~」とAさんが俺を見ながら言ったんだ。
俺をなだめようとしてくれてるのは酔いながらも理解していた。
そしたら嫁上司が満面に笑みでニン!と笑ったわけ。
その時の表情だけはいまだに忘れられない。
勝ち誇った表情というのかな。
○○事件って知ってるか?って嫁上司が言った。
俺はその事件を知っていた。
嫁が壮大に仕事でやらかした話だ。
「また嫁上司さんはそんなこと言うと嫌われますよ!」
とAさんが怒って言った。
きっと今度は嫁に攻撃対象を切り替えたと思ったのだろうと俺は思った。
違う違うそういう話じゃないと嫁上司は話をはじめた。
あれは5年前の話だと言うとB君が違いますよ僕がした入社ときだから7年前ですと訂正した。
そうかそうかと頷きながら嫁上司は遠い目をしながら回想している様だった。
B君の記憶が正しい。
息子が三歳の頃だったと俺もはっきり覚えていた。
大口の仕事だったから高級車10台分ぐらい吹っ飛ぶようなやらかしだった。
嫁が「私クビになるかもしれない」と言って青い顔して帰って来たからその日の事は俺も忘れていなかった。
「結局俺が知り合いの居る他社に頼み込んで事なきを得たんだけどな」
と嫁上司が言った。
おや?と思った。
俺の記憶と齟齬が生じていると感じた。
嫁は明朝関西方面にあるクライアントに赴き謝罪と事情説明をした後、とんぼ返りでトラブル処理に追われていたはずだった。
他社に依頼したという話は初耳だった。
しかしAさんとB君は「そうだったよね~」とその日を思い出して感慨にふけっている様子だった。
「だから関西に行ってもやることなくなっちゃってな」と言いながら嫁上司は俺を見た。
「嫁子と観光してまわっちゃった」と嫁上司が言った。
心がズキン!と疼いた。
「嫁上司さ~ん」Aさんが咎めるように言った。
「夜になって夜景の見える所で飯食ってから港をちょっと散歩してさ」
AさんとB君が硬直して嫁上司を見てた。
場が一気に凍りついた。
酔いがまわって周囲の空気が読めなくなった上司は話し続けた。
「無理やりにじゃないぞ?向こうから舌入れてきたんだからな、ワハハ!」
もはや誰も上司の話を遮ろうとはしなかった。
止めたところで手遅れだと誰もが察していたからだ。
「それで帰りまでまだ時間があるから何処かで休憩するか?って誘ったら嫁子が頷いたんでタクシー乗ってな、どっか休めるとこやってくれって頼んだんだ、そしたら俺男お前、携帯に連絡入れただろう?誰から?って俺が聞いても嫁子知らないってクビ横に振ってたけど、俺着信でお前の名前見ちゃったからな、ガハハハ!」
止め手のない暴走列車は更に加速を続けた。
「それでホテルの前に着いたら嫁子のやつ留守電聞いて、そしたら涙ぐみながらスイマセン!やっぱり帰ります!だってよ、そりゃね~よな~!ガハハハ!」
そこで俺はプッツン!切れた。
闇雲に嫁上司の浴衣の袖を引っ張った。
嫁上司、お膳に足を引っ掛け少しだけよろめいた。
食べ残しの料理が散乱した。
俺は嫁上司の鼻っ面に自分の額を叩き付けた。
鼻血がボタボタと畳の床に落ちた。
周囲のざわめく声が少し聞こえたけど、もうそんなどうでもよかった。
クビにでも何でもしてくれ!という自暴自棄な気分になっていた。
でもラガーマンあがりの嫁上司はカッと俺を見据えたまま身じろぎ一つしなかった。
俺は顔面に右ストレートを見舞った。
血飛沫が舞った。
しかし嫁上司は潰れた鼻のまま俺を直視していた。
そんなの効かないよと小ばかにしたような顔つきだった。
「俺さん辞めてください!」と言われたような気がするが本当のところその辺よく覚えてない。
ただAさんの「そりゃ怒るよ~」という泣きそうな声だけは聞いた記憶がある。
そのまま俺は宴会場を引き摺り出された。
ほとんど覚えてないけど俺はきっとかなり暴れていたんだと思う。
B君だけじゃ手が足りなくて他にも何人かに取り押さえられてたような気がする。
それで新人のC君に「やめろ!」とか偉そうなことを言われてカッときて彼の腹に蹴りを見舞ったんだ。
そしたらC君に渾身の力で殴られた。
俺の人生の中で殴られた初めての経験だった。
B君はC君に「お前まで加わるな!」と嗜めた。
それでも飽き足らない俺は彼に向かって唾を吐いた、
彼にもう一発頬を殴られた。
ファイティングポーズをとって、やるなら俺がやってやりますよみたいな顔をされた。
俺は酔いとパンチの衝撃で完全に目を回していた。
気づいたら天井を見上げてた。
覗き込むAさんと常務の顔がボンヤリ見えた。
救急車呼びますか?というAさんの声と、お前これは傷害だぞ!と言う常務のC君を嗜める声が聞こえた。
俺はムックリと起き上がり「帰ります」と一言いった。
まだ目がまわっていて少しよろめいた。
怒る気持ちも分からんでもないが、あれは酔っ払いの妄言だ、真に受けてはいけないと常務に諭された。
確かに嫁上司は酔っ払ってはいたけど言ってる事は妄言ではありませんと常務に伝えた。
俺は確かにあの夜嫁の携帯に留守電を入れていた。
俺も何の連絡もよこさない嫁の事を心配していた。
しかしトラブル処理に追われてるのかもしれないとあえて連絡しなかった。
でも息子が寝付けず10時頃に「やっぱり心配だから電話してみて」と言ったのを俺は確かに覚えていた。
呼び出し音が鳴っても嫁は出ず、仕方ないので「お母さん頑張れ!」と二人で留守電に入れた。
そのいきさつを常務に伝えた。
みな一様に黙り込んだ。
漠然と事態を察しはじめたC君がスイマセンと謝ってきた。
俺はいいよ彼に言った。
別に殴られたことなどどうでも良かった。
俺はよろめきながら立ち上がった。
常務はどこへ行くつもりなのか聞いてきた。
帰りますと言った。
常務は財布を取り出し、俺に十万を手渡した。
真っ直ぐ帰らないでくれと言われた。
どこか別の宿を探してもいいしカプセルホテルでも良いから、一夜を明かしてから帰ってくれと頼まれた。
冷静になってくれという意味だと俺は察した。
結局その金を受け取って家から一番近いネットカフェで一夜を明かした。
残りは手切れ金かなと考えたが退職金と考えると随分安すぎるなぁとか思った記憶がある。
ここもその一つだった。
どれも(浮気)する気満々のエピソードばかりで何の参考にもならなかった。
そうこうしている内に嫁からメールが届いた。
確か私の愛を信じてとうような事が書いてあった。
常務から連絡がいったのだと察しがついた。
とても無機質で白々しい言葉に感じた。
既に夜が明け始めていたので俺は重い腰を上げ、家に帰ることにした。
十余年の中ではじめて家に帰りたくない!と凄く思った。
マンションのドアを開けると嫁が目を真っ赤にして立っていた。
酷い!どうしたの?と俺の腫れた顔を見て頬に手を伸ばした。
俺はその手を振り払った。
嫁は泣いた。
虚しかった。
私を信じられないの?と言われた。
それなら聞くが、あのとき君は何処でなにをしていたのか教えて欲しいと言った。
嫁は「え?」といって俺をみた。
夜8時頃、俺と息子が心配しているとき、君は何処で何をしていたの?と言った。
ひとが心配してる時、上司の汚い口の中に君の舌を入れてたんじゃないのか?と言った。
息子が寝付けずに携帯に電話して欲しいと言ったとき、君は何処で何をしていたの?と言った。
ひとが心配してる時、君はホテルで上司に抱かれるつもりでいたんじゃないのかと言った。
嫁は口元を押さえながら嗚咽を漏らして泣き崩れた。
嫁は、でもあの時の二人の言葉で私は変わることができたと言った。
それまでの自分とそれからの自分は別人だと言った。
二人が私を生まれ変わらせてくれたと言った。
何故上司に思いを寄せていたのに俺と結婚しようと思ったのか
何故結婚して子供ができてもなお、二人で飯を喰いにいったりしたのか
その心境を教えて欲しいといった。
嫁は口元を押さえて激しく首を横に振った。
言ったら許してくれなくなっちゃうと言って嗚咽を漏らした。
真実を知ることが出来なければ許すどころか君を憎しみ続ける事になるだろうと言った。
嫁は暫く子供の様にしゃくり上げていたが、ゆっくりと真実を話し始めた。
俺と付き合う前から嫁と上司はお互い想いを寄せていたこと、
しかし嫁は上司の家庭を壊したくないと思っていたこと、
上司もそれは望んでいなかったということ、
だからたまにご飯を食べにいくだけの関係を続けていたこと、
でもこのままだといつか間違いを犯してしまうと危機感を募らせていたこと、
そこに俺との見合いの話が舞い込んできたこと、
それを機会に会社から退こうと思っていたこと、
しかし社会復帰して再び上司への想いが募ってしまったこと、
このままではいけないと思っていたけど食事だけならいいのではと自分に言い訳しながらズルズルいってしまったこと、
そこに例のトラブルが起きたこと、
クビ覚悟でいたのに上司が全て解決してくれたこと、
気持ちが舞い上がってしまったこと、
そこで私は生まれ変わったということ、
そこから七年間食事にいったことも想いを寄せることもなくなったということ、
だから今の自分とあの時の自分は違うということ、
今は俺の事しか見てないということを言われた
多分、そこに嘘はなかったと思う
しかし俺は脱力した
「やっぱりな、どうりで君が俺なんか好きになるのはおかしいと思ってたんだよ、そういう事か」
そう言って俺は玄関の床にへたり込んだ。
「ちがう!ちがう! 優しくて素敵な人だと思ったから結婚しようと思ったの!」
「子供ができて三年も上司に想いを寄せてたって、それじゃまるで俺はピエロじゃないか」
「でも今は違う! あなたは天が私に授けてくれた運命の人だと思ってる! 私を生まれ変わらせてくれた運命の人だと思ってる!」
「じゃ、何で携帯に出なかったんだよ、次期社長様とラブラブな時に支社勤めの小物が鬱陶しいと思ったんだろうが!」
「凄く葛藤してたよ! でももう手遅れだって、汚れた私があなたの電話に出る資格なんかないって思って出れなかったの!」
「やった方は悲劇のヒロインに浸れて良いな、裏切られ続けてた側はたまったもんじゃないよ」
いつも穏やかな嫁が涙と鼻水まみれになって泣き崩れた。
「トラブル処理は嘘だったんだろ」
「ごめんなさい」
「ひとに心配させといて、悠長に観光巡りしてたんだって?」
嫁はもう言葉も発することもできずに肩を震わせるだけだった。
「ひとをバカにするのも程々にしろよ」
蚊の鳴くような声で、申し訳ありませんという言葉を搾り出すのが精一杯という様子だった。
え?、と嫁が顔を上げた。
君が出て行くか俺が出て行くか決めてくれと俺は言った。
嫌だ!私出て行きたくない!と嫁がヒステリックな声を出した。
分かった俺が出て行く、君の方が稼ぎがいいしな、当然の権利だと俺は言った。
待って!と言いながら去ろうとする俺のシャツを嫁が引っ張った。
暫く嫁は嗚咽を漏らしながら泣いていたが「私が出ます」と小さな声で言った。
「支度は手伝うよ、残りの荷物は僕がまとめて君の実家に送るようにするから」
「今日出てくだけなの!別れるって認めたわけじゃないの!」
嫁は子供の様に床を激しくドンドン!と踏みつけた。
玄関を出て行く間際に嫁はボソっと「7年間頑張ってきたんだけどな」と一言漏らしながら名残惜しそうな視線を俺に向けてきた。
いろいろと話さなければならい事もあるから、また連絡するよと俺は言った、
「別れないよ!絶対に別れないからね!」という言葉を残して嫁は我が家を出て行った。
家に一人残されると彼女の財布がテーブルに置きっぱなしになっているのに気づき慌てて追いかけた。
遠目に嫁が公園に居るのが見えた。
携帯で誰かと話していた。
俺は反射的に公衆トイレの影に隠れて誰と話しているのかを探った。
「何で今頃蒸し返すような事を言うのよ!」と嫁が今まで見たこともないような凄い剣幕で捲くし立てていた。
その言葉で上司と話しているのが分かった。
俺が始めてみる嫁の怒の側面だった。
暫く罵詈雑言を上司に浴びせかけていたが、最後に「絶対に許さないからね!」と言って携帯を切った。
俺が居るのに気づくとハッとした表情を見せた。
「財布」
「ありがとう」
と言いながらも嫁はいかにも不満そうに唇を尖らせていた。
不満そうな顔のまま去っていった。
たしかその時も、7年間の自分を見て評価してほしいというような事を言われた気がするが、その辺の詳細は失念した。
17:04更新【後編】酔っ払った嫁上司『お前の嫁とデートして、いい雰囲気になったからキスしたwそれでホテルまで行ったんだけど~』→俺はプッツン!人生で初めてブチギレた結果・・・へ続く
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